PICKUP PROPERTY
使えるものは使ってみよう。古き良き岩見沢のリノベーション住宅
築50年の建物、塗装が織りなす時代の変遷
2024年の冬。深々と降り積もる雪の中、このプロジェクトが始動しました。
初回のご相談の際には取り壊しも視野に入っていたのですが、この岩見沢市南町というこの地域では近隣に貸家や新築はあるものの、古家再生を施したものはなく、昨今のSDGsの観点から「持続可能な」建物をこの地域に作ることも私達のミッションと捉えてチャレンジすることとなりました。
企画と補修・デザイン
地盤の緩さもあり、やや傾きも見られたこの建物。そこが一番のネックでした。ジャッキアップなどで基礎を起こして平坦をとってしまうとコストが一気に上がってしまうため、今回は床を一度解体して根田で出来る限り水平調整を行うことでコストを下げつつ内装への費用へ偏重させる方向です。デザイナー・建築会社と一緒に最適解を探しながら試行錯誤して改修へ取り組みます。中間でパースも入れ、ビフォーアフターも取り入れました。
使えるものは使い、ダメなものは交換する。例えば、木製の壁はクロスを新たに貼るのではなく、その上から塗装で仕上げる。ジプトン天井はクロス仕上げの部分と塗装でのテクスチャ出しで切り分け、新素材は極力使用を控えて現時点での素材を出来る限り活かすような仕上げを心掛けました。
水廻りの構想
古家に必要なのは、清潔感。洗面化粧台の入替やウォシュレットの交換を実施。洗面化粧台はエムケークリエーションのデザイン化粧台を導入しました。リーズナブルかつ機能性も優れており、非常に優秀な商品です。寒冷地仕様を施して、凍結防止にも備えています。
トイレは立派な木製幅木をそのまま活かす形で、それ以外に修正を施しました。レトロとモダンをミックスさせたデザイン仕上げです。
キッチンはボロボロだったのでさすがにフルリニューアル。天井の雰囲気が良かったので、塗装を重ねて清潔感を向上させつつレトロ感は残しています。こちらも壁は塗装仕上げとなっています。
元の傷もいい感じの味となりました。壁紙では出せない風合いがたまらなく良き。
全体の改修
和室は一部屋は残しておきたくて。2階の和室は畳の表替えを実施、壁はこちらも塗装で仕上げ。ふすまなどは張替えを行い、雰囲気を残しつつも清潔感を引き出しました。い草の香りは日本人の心を豊かにする(と思う)素敵なものです。
1階の和室は洋室に変更しました。収納部分のふすまは取り払い、ちょっとしたデスクスペースとしても活用可能。
ボイラー庫の部分に洗濯機置き場を移設しました。元々は洗面所に洗濯機置き場があったのですが、洗濯機を配置すると非常に狭くなってしまうこととサンルームからより近い場所に洗濯機がある方が物干しにも便利だと考え、こちらを制作しました。
照明はレトロでデザイン性の高いものを選択。ストーブは新品に交換しました。輻射式のFF式も考えたのですが、既存のえんとつを利用したやかんも乗せられるハイパワータイプのストーブを選択。やっぱり古家にはこれがしっくりきます。
ペット飼育も可能な家にしたかったので、エアコンも導入しました。最近の北海道には必須のアイテムです。
窓のレトロガラスはもちろんそのままで。当時は熱狂的な人気を誇った型板ガラスですが、現在では入手困難なガラスとなりました。近年において昭和レトロが静かなブームとなっていて、特に住宅の歴史が浅い北海道ではもはや中々お目にかかることすら難しくなってきています。断熱性や機能などは当然ながら現代のガラスが上回りますが、この愛らしさを表現することは難しく、手触りの良さからついつい触れてみたくなります。ちなみにこの住宅、前所有者が丁寧に建物を維持していたことから断熱性の高い現代のガラスと古き良き型板ガラスが上手にミックスされています。素晴らしい。
建物周り
改修計画立案時点では雪に埋もれていて、春先から雑草が生えてきて。建物をすっぽり覆うような形で全容が見えなかったのですが、草刈りして駐車場スペースを作ってみると…そこには広大な余白スペースがありました。
せっかくなのでビフォーアフターも。普通車でも6台~9台くらい、トラックでも駐車可能。ちなみに通路部分にロードヒーティングが敷設されていましたが、動作が非常に怪しいのとメンテナンス性を考えて今回は撤去しました。これでどんな車でも乗り入れ可能になりました。
ちなみに2階のバルコニーは本当は安全面を考慮して撤去したかったのですが、これを撤去してしまうと下のサンルームに落雪が直撃して大変なことになりそうだったので、雪よけとして残しておきました。以前はこのバルコニーの上部にポリカ製の屋根が設置されていたのですが、傾いたり割れたりしていたのでそちらは撤去しました。
物件の詳細(と余談)
ただ改修されたきれいな戸建、というだけではなく広大な敷地で自由な発想を楽しめる点がこの物件の魅力でもあります。ちなみに同じ南町の中には、2024年4月に無印良品の大型店舗がオープンしたばかりで買い物も楽しめるようになりました。岩見沢IC(道央自動車道)からも車でわずか3分とこちらもアクセス良好です。
ちなみにこの邸宅、某大手ハウスメーカー施工でした。前所有者の方が書類関係を丁寧に保管しており、一つずつめくっていくと様々な過去が分かります。そして、当時の登記に携わった司法書士の先生も判明しました。既に引退されておられますが、このエリアで長く活躍されておられる方です。せっかくなので今回も同じ事務所にご依頼させていただきました。世代を超えて受け継がれる仕事を見ることが出来るのも、感慨深いものがあります。
物件の詳細
いかがでしょうか。物件の詳細は下記に掲載しておりますので、どうぞお気軽にご相談くださいませ。
南町8-3戸建
所在地:岩見沢市南町八条3丁目14-17
物件の詳細はこちらからご覧ください。
https://c.taft.co.jp/rental/residentals/rooms/52290