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今年の雪事情はどんな感じ?管理会社目線で見る実情
「帳尻合わせ」のドカ雪で今年も例年並みの積雪量
※この記事は、2月に発刊したタフトレポートvol58を一部修正したものです。
「これほど雪が降らない冬は過去に体感したことがなく、雪害がないことは良いことだと感じつつも拍子抜けでもあります。」と1月のオーナーズレポートで記述しており、今年は雪が少ないシーズンになりそうだな…と考えていましたが、やはりそんなに甘くはありませんでした。2月以降にしっかり巻き返し、がかなり遅いシーズンになりました。
シーズン終盤までこのまま少雪が続くのかと予測していましたが、予想は外れました。結局、帳尻合わせのように雪が降り、例年通りの積雪量に達しました。

1月30日時点で例年および昨年を大きく下回っていた積雪量は、2月15日時点でほぼ同量まで回復しました。前号で紹介した帯広では、積雪が1cmから一気に125cmまで増加し、この急激な降雪により市内は大きな混乱をきたし、交通網にも重大な影響が及びました。また、積雪深についても、同様の急激な変化が見られました。

1月30日からの連日の大雪で積雪が増加しましたが、これは必ずしもマイナスばかりではありません。雪不足で影響を受けていた札幌雪まつりの雪像制作や、スキー場の雪質維持といった観光資源にとってはプラスとなっています。特に海外からの観光客にとっては、「雪国・北海道」を存分に体験できる環境となり、非常に好評のようです。



湿雪がもたらす除雪問題
今期の冬の特徴は、極端な降雪に加えて気温が高いことが挙げられます。日中は氷点下になることが少なく、プラス気温になることが多いため、大量の降雪が溶け出します。その結果、雪が締まり、平地では固く重たい雪質になります。湿雪の特徴として、
- 雪が重く、手作業での除雪が困難になる
- 締まって重量の増した雪による落雪事故の拡大
- べたつきやすい雪のため、除雪機が詰まりやすく故障や停止の原因となる
- 水分を多く含むため、氷塊化しやすくトラックへの積み込みや排雪作業にも手間がかかる
- アイスバーンを作りやすくなり、スリップの原因になり転倒事故に繋がりやすい
これらが挙げられます。どれも生活に直結する問題で、クレームに発展しやすい要因となっています。雪が重いため、入居者が自身の駐車場の雪を敷地外へ運ぶことを避け、他人の駐車場スペースに雪を積み上げるケースが増えています。入居者の苦労は理解できますが、改善を依頼せざるを得ない状況も増えてきました(多くの場合、話し合いに時間を要します)。
また、除雪を全くしない入居者も増えています。除雪放置の影響は、アパートやマンションだけでなく戸建にも及び、窓際まで積もった雪の圧力で窓が割れたり変形したりする危険があります。エアコンの室外機の変形やサンルームの破損なども懸念されます。各自に除雪を促していますが、なかなか理解を得られないため、入居時の説明や定期的な注意喚起を通じて、環境改善に取り組んでいます。

落雪によるバルコニー破損と雪で完全に窓が埋まり切った戸建
入居前の駐車場の環境整備
通常、敷地に積もった雪を除雪する際には、近隣の公園や空き地(雪捨て場として許可が得られている場所)に雪を運びます。戸建などの一般住宅では当たり前のことですが、共同住宅では不思議なことに敷地内に収めようとする傾向があり、わずかな空きスペースに無理に雪が積まれていきます。
退去後、次の入居者が決まるまでの空車スペースを見つけると、周囲の入居者がそこに雪を積んでいくのです。管理会社としては許可を出していませんが、近年は建物の敷地も狭く、周囲の空き地も減少している状況を考慮し、また自然な積雪も避けられないことから、暗黙の了解として黙認しています。ただし、そのスペースに新しい入居者が決まった場合は、排雪などの整備が必要となります。入居直前の堆雪が軽微な場合は、管理会社のサービスとしてスタッフが手作業で除雪を行いますが、固く重たい湿雪の場合は除雪業者に依頼し、重機とトラックでの除雪作業となります。
ここでよく問題が発生します。せっかく整備したスペースに、周囲の入居者が自分の駐車スペースの雪を積み上げたり、市の大型除雪作業で巨大な雪塊が置かれたりすることで、整地が台無しになってしまいます。その結果、新入居者から苦情をいただくことがあり、大変残念な事態となっています。


これは一例ですが、整地済みの車庫前に雪が積まれてしまったケースです。スタッフ全員で敷地内から200m離れた公園まで、巨大なそりを使って雪を運び除雪を行いました。90分にわたる重労働でしたが、新規入居者に快適に入居していただくために不可欠な作業でした。
1月から3月にかけてこのような作業が継続するため、除雪業者との連携や作業スケジュールの調整が重要となります。これは雪国特有の重要な管理業務ですが、長年効率化が難しい課題であり、現在も改善に取り組んでいるところです。
ただし、今年は湿り雪が多いというデメリットがある一方で、気温が高く例年より凍結事故が少ないというメリットもあり、管理会社としては多少安堵しています。もう一か月もすれば雪解けが進み、春の訪れも近づいてきます。入退去シーズンの本格化に向けて、万全の態勢で臨んでまいります。
道路を拡張する市の除雪活動。とてもワイルドで見ごたえのある作業です。
