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HOMESPECIAL TOPICS北海道「最広」の土地、北見のアパート事情

SPECIAL TOPICS

北海道「最広」の土地、北見のアパート事情

道東主要都市の賃貸事情

2023年2月某日、私が所属する団体「IREM JAPAN」のメンバーの方からとあるイベントに招待いただき、北見を訪れました。北見では賃貸物件の内覧ツアーや駅前の散策を行い、道東の主要都市の実情をリアルに体験したことを今回のレポートにしました。

北見のデータ

広大な土地が広がる北海道の中でも最大級の広さを誇る北見市。人口は約11.5万人(8位/179市町村) 、可住地人口密度が非常に低く、かつ可住地面積は全国10位と住居に対して非常にゆとりのある土地であることが特徴です。そのため、アパートでも1戸につき駐車場2台確保出来ることが多く、車を所有することが前提とされる地域でもあります。

降雪量は札幌の半分から7割程度、年間平均気温は6.3℃(全国3位の寒さ)、冬期はマイナス20度を下回ることもある厳寒地域です。年間降水量は日本中で最も少なく、公園面積や数も充実しているために屋外での遊びが充実していて自然あふれる子育てができるという点も魅力の一つ。

中心部から車で30分少々で女満別空港にもアクセス可能です。この空港は東京・大阪・名古屋、そして新千歳と主要都市へ接続も充実していること、そしてLCCのピーチも就航していることから都市間のアクセスも良好です。北見が位置するオホーツク管内は外国人の観光客は道内で最も少なく、観光都市というよりもベッドタウンおよび農業地域と呼べるエリアであることから、ビジネスホテルの数はさほど多くはありません。また、分譲マンションはわずか6棟のみであり、最新のマンションであっても2005年と住宅購入は戸建に偏重しています。

賃貸住宅の供給戸数はおよそ20,000戸弱と言われており、売却用一軒家の空室は年々増加しているものの賃貸の空室はここ10数年変化は無く、新築供給のユニット数に比べて空室が増加していないということは需給バランスが整っている地域と言えます。

 賃貸物件の賃料

地方都市でありながら、建築資材の高騰と切れ目ない賃貸需要が相まって賃料高騰が続いています。北見駅近くの新築マンションでは低層階でも6.6万円(㎡単価:2,027円)と札幌に負けず劣らずの設定です。

ただ、ここまで高騰すると供給戸数が多い場合は満室まで中々苦戦を強いられるようです。札幌ほど人口の流動が多いわけでもなく、あくまでもこのエリアのみで完結してしまうという点とこの賃料設定を受け入れられるのは市外から流入する転勤などの属性が中心となるため、竣工から満室までのロードマップだけではなく、どこまでこの設定を維持し続けられるのかという長期計画と想定外のシナリオに耐えうる変更案を都市部以上に準備しておく必要があると感じました。

確実性の高いアパート建築

こういった郊外都市型の地域に相性のよい建物は、やはり木造アパートです。

  • 建築コストと賃料収入の相性が良い
  • 戸数がいい意味で制限出来るので、満室運営に持ち込みやすい
  • 駐車場を広めにとって車利用者を確保しやすい
  • 間取りの自由度が高く、独自性を高めやすい

最大のメリットは手離れが良いことだと考えています。鉄筋造に比べて小ぶりな分だけスピーディーな売却が想定出来ること、相続が発生しても全体の運営見通しが容易であること、地域特有の木造フレンドリーで修繕などにも馴染みが深く、工務店や内装業者などへの発注がしやすいことなどから、収益運用から相続対策まで広範囲にわたるリスクヘッジが可能です。

また、固定資産税から始まりシンプルな運営コストや相場感が掴みやすい賃料設定など、小回りの利く安心できる商品であることには間違いありません。出口で言えば売却だけではなく、解体コストや立ち退き費用の安さも安心材料の一つです。

反面、このエリアで鉄筋造はどうにも「重たい」印象は否めません。特に相続時に「負動産」になりかねないのが地方都市の実情です。メンテナンス計画がなされていない大型の箱を渡されても、受け継いだ側の資金がなければ修繕も叶わず、あえなく廃墟になって行く物件も少なくないからです。

札幌に比べるとメンテナンス業者も多くは無いためにいわゆる「相見積もり」も有効では無い時があります。そもそも相見積もりできるほどの業者数がないどころか、発覚したら施工を拒否される可能性すらあります。そういった観点から、政令指定都市と同じ感覚で投資を試みると様々な違いがあることが分かります。

北見のデザイナーズアパートを実際に内覧してみました

都市のベンチマークを振り返ったところで、実際の物件もこの目で見てきました。今回はIREM Japanに所属する北見の「株式会社J・メディア」佐藤社長のプロデュースする物件を内覧しました。

この物件は2023年1月に完成したばかりの新築物件。44.63㎡の広々1LDKに駐車場2台込。

かなり尖ったデザインにこだわり、自社プロデュースの物件を含む管理物件は稼働率98%を超えているそうです。

このように内装の差別化を図り、駐車場の広さなどの基本性能を確保すると入居率もおのずと上昇するそうです。

情報がほぼ手に入らない北見の収益物件

調べてみるとお分かりになられるかと思いますが、実は北見の収益物件はほぼWEB公開はされません。地域の中で売買が完結するため、外部への発信は非常に少ない状況です。新築のオーナーの多くは道内・特に北見に縁のある方がほとんどのため、道外の方がこの地で突然投資活動を始める事はほぼ皆無でしょう。

基本線としては新築APの場合は8%前後で運用されることが多く、一見すると大きな魅力には感じないかも知れません。確かに一時期に比べると地方都市とてグロス利回り自体は下がっていますが、それだけでの評価は尚早です。北見は雪が少なく除雪コストが札幌に比べて安く、アパートであれば電気代その他運営コストも最小限に抑えることが出来ます。また、AD合戦もなく基本は自社付けがほとんどのためにグロスとネットのスプレッドが限りなく小さいことが特徴です。公務員や医療関係者も多い都市のため入居者属性も良好で、トラブルが少ないも良い点だと感じました。

 政令指定都市のようなプロプレイヤーが活発に活動をしているわけではなく、昔と同じく地域・地元の人々が大家になる北見。もし観光などで足を運ばれる場合は、この地域のアパートをチェックしてみてください。

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