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HOMESPECIAL TOPICSデータ分析から考える収益不動産運営

SPECIAL TOPICS

データ分析から考える収益不動産運営

様々なツールを用いた多角的な分析

「家賃は下がる一方、人口減少に伴い空室は増加、東京オリンピックのあとは不良在庫が多数発生、経費は増大の一途…」

こういったお話ですが、もう何年も何十年も変わらず色々な場所で耳にしています。不動産投資に関して否定的な方であるならまだしも、なぜか不動産を保有している方でさえ同じようなことを口にされる方も少なくありません。確かに町を見渡せばアパートや店舗、オフィスの空室募集のポスターを目にすることも少なくありませんし、そういったものが目に入ってくることが多ければおのずとネガティブなコメントになってしまうことも頷けます。

そしてその不安な気持が晴れず、藁をもすがる思いで仲介店舗に運営の相談を行ってみると「最近はどの物件もなかなか決まりにくい」「賃料を下げて決めるほか手段がない」「ADを上げたほうが決まる」と言われ、更に不安は増す一方…これがよくある「大家サイクル」です。

 ただ、ここまでのお話で全く出てこないのはデータと実数です。登場人物全員が「なんとなく」で不安になっているのですが、果たして真実なのでしょうか?まずはこちらのデータを検証してみましょう。

実際の空室率とは

こちらは平成30年の札幌市による住宅統計調査です。この表では空き家のみの表示となっていますが、同じ統計調査の住宅総数とかけ合わせてみるとその実態は浮き彫りになってきます。

統計調査を用いて実際の空室率を割り戻してみると、賃貸住宅の空室率は7.46%となっています。一方、総空家数で見ると11.93%。その差は4%以上にもなります。この総空家数には売却としての住宅や公営住宅も含まれるため、それらを除外しないと賃貸住宅の実数が見えないため、確実に除外する必要があります。また、賃貸の空室率は非募集ユニットも含まれるため、実際にはもっと低い数値となるために理想的な稼働率であることも証明されています。

なお、某WEBサイトでは次のような表記となっていました。

平均空室率は約20%近くと表示されています。データソースが表示されていないので何を参照しているのかは不明ですが、恐らく共同住宅以外の一般住宅、更には所有者不明の戸建なども含んだソースになっていると思われます。実際の運営とはかけ離れたデータであり、不安を煽るだけのデータであることは間違いないために鵜呑みにする必要はありません。

当社は管理会社同士のネットワークも強いため、お互いの稼働率などを議論することもしばしばあります。10社近くとコミュニケーションした結果、どんなに低くても90%を下回る運営実績は見当たりません。恐らくそれを下回っている場合の問題点は市場の問題ではなく、管理会社自体の問題なのでここでの「空き家問題」とは全く別物になります。

なお、この分析は直近20年近くの札幌市データを調査していますが、それらによると一度も10%の空室率を上回ったことがなく、さらに言えば誤差1~2%程度で上下推移しているために空室が増加したとは言えないでしょう。つまり、保有物件で空室が決まらない場合は建物またはその空室自体に何らかの問題があると考えることが自然であり、市場に問題があるわけではありません。

ただ唯一、札幌至近の小樽の桂岡エリアは2015年に「大学の移転」という賃貸市場をひっくり返す大きな出来事がありました。これは明確に市場に問題が発生したケースですので、この市場依存問題については別の機会でお伝えしようと思います。

賃料のウソ・ホント

空室のことは確かにそうかもしれないけど、賃料は下がる一方。仲介の担当者もそう言っていたし…という部分についても触れてみましょう。今度は違うデータを用いて検証します。こちらではathomeから発行されている「マンション賃料インデックス」の全国の賃料推移を使います。この表では札幌市が2009年から2022年にかけて、2割ほど賃料が上昇したことを示しています。

全国的に賃料は上昇していますが、元の賃料が安かったこともありじわじわと右肩上がりを続けてきました。全国的な大規模都市の中でも2番目の上昇値となっていて、不動産市場の活性化がここで分かります。

 それでは、今度は札幌市の種別の賃料推移を見てみましょう。

 シングルからファミリーまで、全ての賃料帯が上昇を続けていますがその中でも飛びぬけた数値を誇っているのがファミリータイプです。こちらは60㎡以上がファミリー物件としての対象になるので、札幌では基本的に3LDK以上が対象になることが多くなります。

  そして、今度は賃料が上昇した理由を検証してみましょう。下記の表は全国の統計データから札幌の世帯と収入の推移をまとめて独自に計算したものです。単独世帯が増加し、家族世帯が減ったことが分かります。

 核家族世帯は減少しているものの、ファミリータイプの需要は年々強まる一方です。北海道はインバウンドでの観光客が全国2位と非常に活況で、ホテルなどの建築もさかんに行われています。それに伴った転勤などによる新たな流入が増加し、他エリアよりももともと安かった賃料が押し上げられた事も一つの要因として考えられます。

 次に、世帯収入の推移を同期間内で検証しました。過去20年に比べて単月の世帯収入が6万円近く上昇していることが分かりました。需要が上がり、収入が増えればおのずと賃料も上昇します。

 一方、都市の中で唯一のマイナス評価となった名古屋についても検証してみました。核家族世帯は49.33%と札幌と比べて2%低く、収入は527,488円と4万円ほど低いことからコンパクトタイプ・ファミリー世帯の伸びは少ないことが分かります。そういった意味ではここ20年での札幌のポテンシャルは非常に優秀であることは間違いないと言えるでしょう。

 データが指し示す不動産運営

 これではっきりしたことは「空室だらけ、賃料は下落の一方」は当てはまらないことが分かりました。不動産投資・運営はギャンブルではなく経営・投資であり、数字から目をそらさずしっかりと向き合うことでその建物が持つポテンシャルを十分に発揮してくれます。

 しかし、そのデータから目を背けて他人の意見を鵜呑みにしたり、感覚のみで何でも進めてしまうと理想とはかけ離れた運営となってしまい、軌道修正が難しくなっていきます。仲介業者が「賃料を下げたほうが決まる」というのは当たり前の話ですし、そもそも仲介業は簡単に決めて手数料をもらう事が商売ですから「賃料を高くしてみましょう」というスタッフは中々いないでしょう。

 適正な賃料設定や支出は決して簡単に決められるものではありませんので、保有中の物件や今後購入予定の物件、または売却に向けて収入と支出を整理したいという場合はどうぞお気軽にタフトへご相談ください。

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