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HOMESPECIAL TOPICS世界の不動産事情をベンチマーク(IREM・CPM) in トロント

SPECIAL TOPICS

世界の不動産事情をベンチマーク(IREM・CPM) in トロント

ワールドカンファレンスと現地不動産のベンチマーク

2023年10月9日~13日、私の所属する不動産団体「IREM」のグローバルサミットがカナダのトロントで開催されました。毎年北米で開催されるこのカンファレンスですが、今年は30名のメンバーとともに参加することになりました。

昨年のフィリピンに続き世界の不動産を体感するにはとてもよい機会だと感じ、タフト国際事業部が少しずつ盛り上がってきたこともあり、良いタイミングであったために初めて参加表明。実際に体感した世界と日本の様々な違いなどを、記録がてら記事にまとめてみました。

現地の民泊で世界の不動産を体感 

飛行機で移動すること18時間、自宅から現地までだと約26時間の長旅を経て現地入りしました。今回はカンファレンスと不動産視察がメインだったので、できるだけコンパクトな旅程にしたために中々ハードな日程でしたが、その分凝縮された体験であったことは間違いありません。

トランジットを含め、日本の航空会社や空港とは大きく異なる品質のサービスに翻弄され、早速の洗礼を浴びながら現地入り。Uberを使って移動した先は、今回の宿泊先であるArinb(民泊)です。せっかくの現地不動産を体験するなら、ホテルではなくデタッチドハウス(一軒家)に泊まり、設備やロケーションなどを肌で体感できるよい機会だと思って選択しました。結果的には本当によい選択となり、全てとは言わないものの海外の建物を表す一つのよい指標となったことには間違いありません。

今回宿泊したこの建物は、外観や内装は写真上ではまさに子供のころから憧れを感じた海外の素敵な建物といういでたちで、素敵なアメリカンライフに心躍らせながら過ごした4日間でした。そして感じたことは、

  • 夜の到着だったが、周囲が暗すぎてどの建物か全くわからない(さすがに異国で夜間で建物を間違えるわけにも行かず…)
  • 玄関ドアシリンダーが開かない、閉まらない(回し方に相当コツがいる)
  • 全体的に暗い、水回りが不衛生、キッチンカトラリーなどが薄汚れている
  • 治安悪めでおっかない

現実は思ったよりもシビアでした。シンプルに「印象とは違う」。airnbの集客は写真で決まるものだとよく言ったもんだと実感。マーケティングとリーシング、販売活動の重要性を改めてひしひしと感じ、この時点でかなりの経験を得たと感じています。

ちなみに、この家は「一軒まるまる」の表記にも関わらず半地下部分に人が住んでいました。ドア一つの区切りなので中々話し声なども漏れがあり、まさか日本以上にカナダで騒音に気を付けて生活することになるとは出国前には思いもよりませんでした。これもまた良い思い出です。(下のおじさんはいい人でした)

庭にはリスが4匹もいました(いろいろ悪さする害獣扱いだそうです)

物価や政策、文化の違いから生まれる金利と不動産価格

今回滞在した民泊は4泊で日本円で約26万円、3人で宿泊したために一人1泊2万円少々です。ホテル(シェラトン)は1泊4万円のため、半額程度の料金でした。こちらを1か月ちょうどで連泊した場合は116万円とのことで、類似の近隣住宅を調べたところ、およそ1.4億程度のようです。稼働率を7割で計算し、年間で6.9%の利回りと試算しました。永住権を持たない外国人が不動産購入をした場合、20%の取得税金がかかります。賃料収入には25%の課税、売却時にも利益額の25%が譲渡の税率としてかかるとのことです。

今回はトロントで活躍されているエージェントによる現地の不動産視察ツアーにも参加しました。現地で説明を聞いた時には「本宅の場合は非課税、賃貸住宅の場合は売却時に50%の税金が発生する」とエージェントからの説明があり、確かにその通りでもあるようですが税額控除や優遇については触れていなかったのと、投資収益物件よりも実需向け寄りのエージェントであったために、説明が不十分であった可能性はあります。数字上のインパクトはあるものの、よく見てみると日本と大きな違いはないのかもしれません。いずれにせよ、税額控除の概念が外国にもあることは新鮮でした。また、外国人と永住権を持つ国内向けで税率が異なることも新たな発見です。

賃料30万円の1LDKタワーマンションはさすがのクオリティだったはず…ですが

傾いたバルコニー、居室隅の処理の酷さ、そしてEVの↓ボタンはなぜか傾いていました…

RENOSYによるとトロントの平均的な利回りは3.9%。同サイトで東京を見てみると2.7%のため、大阪や福岡に近い利回りの感覚でしょうか。ただ、区分マンションと戸建てでも大きく異なるため、一概には比較できませんが参考指標の一つにはなりそうです。

金利は政策金利で比較した場合、日本は-0.1%に対してトロントでは約5.5%と大きな開きがあります。ちなみに、カナダでは2020年では0.25%だった金利がわずか3年で大きく跳ね上がっており、実際の融資金利は7%超と融資に関しては日本とは大きな違いがあることがわかりました。カナダだけではなく、2022年の3月~5月から現在に至るまで、世界中の多くの国が大幅な金利上昇に踏みきり、同時にインフレ率も右肩上がりの状態が続いています。

ドリンクやフードは日本円の1.5倍~2.5倍程度。シカゴ空港で購入した水は800円でした。

世界と日本の金利の違い

金利上昇、インフレ率の上昇に伴い不動産価格も引きあがる一方ですが、気になる点は安全性です。香港では16年ぶりに不動産価格が下落を始め、昨年より仲介エージェントの人員整理が始まったと報道されました。「15年前後で不動産価格は山のように上下する」法則は今回も当てはまり、ピークアウトしたあとは市場は調整の方向に向かいます。

ただし、前号でも述べた通り、日本では同様の現象は起きにくいと考えています。金利は相変わらず超低金利が続き、良い意味でワールドスタンダードとは少し距離があるために緩やかな上昇と多少の調整が続くので、世界と比較しても危険性はかなり低いと考えます。

日本の文化が支える安全性

今回のツアーはもちろん、各国を訪れる旅に日本のスタンダードと世界のスタンダードは大きく違うものだと感じることが多いのですが、それは決してネガティブなものではなくポジティブなものだと考えています。一つ目は、建物クオリティの高さ。ビス一つにしても打ち方、ピッチの取り方などが厳格に定められ、様々な災害に対応する合理的な仕組みと建築技術は随一だと感じました。やや柔軟性に欠け、デザインの自由度は劣るものの決して卑下するものはなく、勤勉な姿勢と清潔感は圧倒的なアドバンテージでもあります。今回のツアーで感じたことは海外の投資家やエージェントにも誇りをもって日本の建物を薦められる良い気づきに繋がり、とても良い気づきとなりました。

様々な視点で見る世界の不動産

IREMで学ぶことは国内各地の不動産事情だけではなく、世界の不動産をより身近に体験できるという貴重な団体です。今回は予定されていたツアーのほか、日本から同行したメンバーによる地元不動産エージェント独自の「実際に販売している不動産」ツアーを空き時間で組んでもらったり、その他様々な形でお世話になりました。

外国人の雇用やアジアに進出している企業も参画していて、様々な意見交換やカナダやアメリカのエージェントとも名刺交換をするなど中々体験することの出来ないことの連続でした。その中で、日本の不動産をどのような視点で見ることが自社にとって良いことなのか。ワールドスタンダードを理解しつつ、不動産を通じたサービスをどのような形で提供することが最善なのか。そういったことを考えることができたとても充実した3日間でした。この経験を今度はアウトプットに変換し、自社に運用に活かします。

最後に。実は日本人が全く参加しない、外国人しかいないプロパティツアーもチャレンジの意味も込めて参加してみました。また、様々なカンファレンスとアワードの中やスーパーでの買い物やその他色々と「一人チャレンジ」を試みましたが…結論、全く英語が通じずに不勉強を実感して帰ることとなりました。もっと英語ができるように頑張ります。新しい課題がまた一つ誕生しました。

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